管理人山猫礼と副管理人ユースケによる小説と絵のブログ 毎週水曜更新b


by eternal-d-soul
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カテゴリ:小説:武装神姫( 4 )

武装神姫:お別れ?

 ついにこのときが来たのか、と僕は思っていた。“そのとき”が痛いほどに僕の胸を突く。分かってはいた。いつかこんな日が来ることは……。
そんなときが来ないことを願っていた。だけどそれは、心の何処かで「そんなこと、ありはしない」と冷静に理解していたからなのかもしれない。
「マスター……」
 黙々と作業を続ける僕の横でストラーフタイプのシエラが呟く。
「なんだい? シエラ?」
「ホントにいいの?」
「……」
 寡黙な彼女だけにその言葉は殊更に重い。その一言にどんな意味が込められているのか……きっと僕が思うよりも遙かに多くのことを彼女は考えて言葉にしているのだろう。
「ああ、仕方ないんだ……」
 シエラの言っていることは分かる。だけど、これはもう決めたこと。どうしようもないこと……
「……わかった」
 それきりシエラは黙り込んでしまった。
沈黙がいつもよりもずっと長く、息苦しいものに感じた。

「そろそろエリシスの番だぞ」
 机の上、僕の目の前でアーンヴァルタイプのエリシスが項垂れている。
「私イヤです……」
「エリシス……」
 意外な一言だった。エリシスはいつも素直だった。少し辛口な時もあるが僕に対して我が儘を言ったことなど記憶にある限りは一度もない。そんな彼女が今、僕の目の前で……
「自分勝手だって分かってます……マスターを困らせてるって分かってます……だけど……だけどっ……!!」
 その先はもう言葉にはなっていなかった。押し殺した嗚咽、ぶるぶると震える肩……涙が流れないとしても分かる。彼女が“泣いている”んだと。
「エリシス……分かってくれ……こうするしか……こうするしかないんだ……他に方法が無いんだよ……」
 辛かった。その言葉を紡ぐのが。まるで鋭い棘を突き立てたれたかの様な痛みが胸に響く。
「でもっ! でも……こんなのって……こんなのってあんまりです!!」
「じゃあ他にどうしろって言うんだよ!!」
 エリシスの言葉に僕は思わず感情的に叫んでしまった。
「っ……!!」
 後に残るのは後悔だけだっていうのに。
「ごめん……」
「……ごめんなさい……マスターだって辛いんですよね……」
 エリシスが顔をあげる。そこには辛そうな顔はもうなかった。代わりにあったのは目一杯の笑顔。
「私、頑張ります! だって……それがマスターのためですから……!!」
「エリシスッ……!!」
 胸が張り裂けそうな思いだった。エリシスの笑顔に、決意に、思いに……僕はぐっと想いを堪えてぷちぷちとハサミ手に取った。
「さーて、それじゃ早速ぷちぷちを巻くかなー!!」
「あうぅ……」
 僕はロールになっている“ぷちぷち”ことエアーパッキンをハサミで丁度良いサイズに切ると、エリシスにあてがった。
「あ、あのマスターやっぱり……」
「問答無用!!」
「あう! あはは!! マスターくすぐったいですっ!」
「我慢我慢! っていうか、エリシスがスタンバイ状態がイヤって言うから仕方ないそのまま巻いてるんだろ?」
「だ、だって……!! あひゃははは!!」
「これ巻かなきゃボディに傷がつくかもしれないんだから、仕方ないんだよ! 引越し先に着くまで我慢すべし!!」
「あはははは!! し、死んじゃうー!!」
 ひとしきり騒いだ後、なんとかエリシスを衝撃から守れる程度のクッションを巻くことが出来た。
「うぅ……なんか息苦しいです……やっぱり辛いです~」
 瓶に閉じこめられた妖精のような感じでエリシスがぽふぽふとぷちぷちの表面を叩く。
「ホントはもうちょっと別の方法で運んであげたかったんだけどな……ほら、人数が人数だし……」
 机に置いたケースの中では同じく起動したままエアーパッキンに包まれた他の神姫達が騒いでいた。
「狭いー! 狭いー!!」
「だ、だめだよ騒いじゃ!!」
「あーもう! まだ着かないの!? マスター!!」
「大佐! これは新たな何かに目覚めてしまいそうですよっ!」
「zzz……」
 全員起動状態……根負けしたのは僕だけど、それにしても……
「やっぱり強引にでもスタンバイ状態にした方が良かったかなぁ……」
「……だから言ったのに」
 エアーパッキンの中でシエラが溜息をついた。










はいー、というわけで引越しネタ+エイプリルフール?チックな感じで書いてみましたw
いや、ホント運ぶときはエアーパッキン巻いておかないと怖いんですよ・・・マジで

実際の神姫だったら多分こういう梱包しなくても大丈夫なくらいは頑丈なのかもしれませんが・・・どっちにしろ人数多すぎだとこんな感じになっちゃうんじゃないかなーと妄想。

神姫系はどうもすぐネタに走ってしまう・・・w
もちょっとマジメな作品も書こう(;´Д`)

それではまたーノシ
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by eternal-d-soul | 2008-04-01 04:08 | 小説:武装神姫
「ほらぁ、早くお金出しなさいよ」
「や、やめてください……」
 外は騒然となっていた。革のジャケットを着たブロンドの神姫、アーンヴァルがエプロンドレス姿の神姫、ウィトゥルースに銃を突きつけているからだ。
「私ですね、こう見えて結構短気なんですよ? だ・か・ら・ね? 早く有り金全部出しなさいって言ってるのよぉ!!」
 アーンヴァルがウィトゥルースの横の樽を蹴った。樽は粉々に砕けてその破片が中を舞う。
「も、もうお金なんて持ってないですぅ……!」
 恐怖にウィトゥルースはブルブルと震えている。だが、そんな光景を目の前にしても街の者は誰も手を出せない、出そうとしない……それだけでファミリーの力が如何に絶大かが分かった。
「そう? なら、ほら。あなたのカラダで稼げばいいじゃないですか? 丑型なんだし、ミルクでますよね? それ売ってお金にすればいいじゃないですか? そうですよね?」
「い、いくら丑型でも、そんなもの出ないですぅ……」
 無論神姫からミルクなど出るはずが無い。だが、アーンヴァルは執拗にウィトゥルースに迫った。
「ちょっと胸が大きいからって調子に乗らないで下さいよ! 私だって、私だって……大体なんで私が悪役なんですか!? しかも下っ端なんて……あんまりじゃないですか!!」
「あ、あのエリシスさん台本とちが……」
「台本なんて知りません!!」
 今にも泣き出しそうになっているアーンヴァルのエリシスを前にウィトゥルースが慌てる。
「弱いものいじめはだめだよ!!」
 そこにタイミング悪く来訪者がバーから出てきた。
「うぅぅ……」
「えっと……ど、どうしましょう……?」
 来訪者の前には台本と違う光景が広がっていた。半泣きのエリシスとオロオロと慌てるウィトゥルース……。
「あ、あれ? マリエが弱いものいじめ??」
 事態が飲み込めずに来訪者は首を傾げた。台本ではエリシスがウィトゥルースのマリエをいじめていることになっている。が、今の展開は何か違う。
「ち、違いますよ! エリシスさんが急に……」
「うぅ……虎春ちゃんのせいで……大体、マスターはなんで私が主役の話を作ってくれないんですか……?」
 当のエリシスは体操座りで”の”の字を地面に書いている。
「え、えっと……とにかく弱いものいじめはダメだよ!」
 とは言ったもののエリシスは完全にいじけきっていた。来訪者こと虎春の声は聞こえていないようだ。
「エリシス様! それでは話が進みませんわ」
 と、そこにいきなり一人の神姫がフェードインしてくる。
「め、メシエスちゃん!?」
「メシエスさん!?」
 虎春とマリエが驚きの声をあげた。
 ウェーブのかかった艶やかな金髪を靡かせ、スカートを華麗に翻し、ドローテアタイプのメシエスはエリシスの首根っこを掴むと、ひょいと抱え上げた。
「うぅぅ……メシエスさん~……」
 メシエスの肩の上でエリシスがうめき声をあげる。
「マスターには後でシエラお姉様も連れて直談判にいきましょう。大丈夫よ。マスターはお姉様に弱いから。だから今はドラマに集中しましょう? エリシス様?」
「ぅぅ……ありがとうございますぅ……」
 メシエスの見事な話術にのせられてエリシスがようやく落ち着きを取り戻す。
「ではエリシス様。捨て台詞を」
 促されてエリシスが口を開く。
「覚えてなさいよ~……ボスに仕返ししてもらうんだからぁ……」
「……今一つしまらない感じですがいいでしょう……。それではお二人とも、続きをがんばって下さいませ」 
 メシエスはエリシスを担いだまま深く礼をすると、入ってきたときとは逆にフェードアウトしていった。 
「な、なんだったんでしょう……?」
 嵐のような展開が過ぎ去ってマリエが呆然とした表情で呟いた。
「まだ私銃撃ってないのにぃぃ!!」
 虎春がテンガロンハットを脱ぎ捨てる。緑色の髪がその中からピヨンと元気よく飛び出した。そう彼女は猫型マオチャオだ。
「えっと……とりあえず助けて頂いてありがとうございます……でいいのかな……?」
 マリエはとりあえず台本の台詞を口にしたが、虎春はな納得しないようだった。
「もう!! 私の大活躍はー!?」
 腰のホルスターから取り出したリボルバー”ウズルイフ”を振り回して虎春が叫んだ。

・・・・つづく
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by eternal-d-soul | 2008-02-08 20:08 | 小説:武装神姫
 蝶番の軋む音がベル代わりになり、バーへの来訪を告げる。来訪者はテンガロンハットを目深に被り、外に広がる荒野と同じくすんだ色のマントを羽織った神姫だった。その姿からはどのモデルなのかも、表情すらも伺うことは出来ない。
「いらっしゃいませ。ようこそ“ヂェリカン”へ」
 こんな街には似つかわしくない小綺麗なウェイトレス姿の神姫が来訪者に礼をする。落ち着いた薄紫の髪を後ろで二つに結んだ神姫、イーダだ。
「……いらっしゃい」
 幾分遅れてカウンターに立つタキシード姿のもう一人の神姫が小さく礼をする。こちらもこんな街に居るとは思えないほどの美しい神姫だ。ピンク色の長髪がバーの薄暗い照明に照らされて幻想的にキラキラと輝いている。彼女はアーク、そう呼ばれる神姫だ。
 来訪者は二人を一瞥すると、一番奥まった席に歩を運び、腰を降ろした。
「お客様、ご注文はどうされますか?」
 直ぐさまイーダが横に立ち注文を取る。
「よく冷えたミルクが飲みたいな。あ、低脂肪じゃないヤツで」
 来訪者の注文にイーダは深く、そして優雅な動作で頭を下げた。
「かしこまりました。ジュダ、オーダーよ。よく冷えたミルクを。低脂肪じゃないヤツでお願いね」
「……分かった」
 カウンターに立つ神姫、アークのジュダが冷蔵庫からビン入りのミルクを取り出す。もちろん低脂肪ではないミルクだ。そのミルクの蓋を開け、クラッシュした氷と一緒にシェイカーに放り込む。ジュダは慣れ手つきでシェイクすると、それをグラスに注ぎ、ストローを差した。
「……ミフナ、できた」
 出来上がったミルクをコースターに乗せて、イーダのミフナがテンガロンハットの来訪者の元に運ぶ。
「お待たせ致しました。ミルクでございます」
 洗練された、流れる様な動作でミフナは来訪者の前に、音一つ立てずにミルクを置いた。
「ありがと」
 来訪者はストローをくわえるとミルクをズズズと音をさせながら飲んだ。
「これはとってもいいミルクだね」
 満足げに喉を鳴らして来訪者が唸る。
「ありがとうございます。それではごゆっくりどうぞ」
 ミフナはゆったりとした動作で優雅に礼をするとカウンターの方に戻っていった。
 バーに流れる穏やかな音楽が適度な静寂をもたらす中、来訪者はミルクをゆっくりと楽しんでいた。口に広がる濃厚な味と香り……それは手がほとんど加わっていない新鮮なものだからこそ味わえるものだ。
 だが、そんな束の間の楽しみはバーの外から響いてきた一発の銃声で打ち切られた。
「!」
 バーの中の雰囲気が、にわかに緊迫したものになる。
「また奴らね……」
 ミフナが眉を顰めながら呟いた。
「ヤツら?」
 来訪者がミフナに問いかける。
「……この辺りを牛耳ってるファミリー地獄兎耳(ウサギの耳は地獄耳)……乱暴者達ばかり……」
 その問いに代わりに答えたのはジュダだった。
「乱暴者……」
「ええ、彼らのおかげでどれだけこの街の住人が苦しんでいるか……無事なのはせいぜいこのバーくらいです。ここは彼らも利用しているのであまり暴力は振るわれないのですが……」
 ミフナは俯いてぎゅっと唇を噛みしめた。
「悪いヤツらにはお仕置きが必要だねっ……!」
 ミルクを一気に飲み干すと、来訪者が席から立ち上がった。
「……ッ! お客様、今外に出ては危険ですよ!!」
 外に向かう来訪者をミフナが止める。しかし、来訪者はそれを聞き入れず、
「ミルク、おしかったよ。また来るね」
 そう言って外に出て行った。
「あなたは……」
 座っていたテーブルの上にはミルクの代金がきっちりチップ付きで置いてあった。

・・・つづく
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by eternal-d-soul | 2008-01-25 00:49 | 小説:武装神姫
ちょいちょい書き進めていたのですが、いまひとつ進みが遅かったので乗せていなかった神姫が主役の小説をボチボチ乗せていこうかと思い、新しいカテゴリを作りました。

更新はメインの小説よりもさらに遅れる可能性高いですが、ご了承下さい。

基本的には良い話とか、コメディなモノをメインにUPしていきたいと思ってます。
メインの連載は両方とも軽くないので・・・w

それでは、そんな感じでお送り致します。
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by eternal-d-soul | 2008-01-25 00:44 | 小説:武装神姫