武装神姫:がんなーず マオ!! その2
2008年 02月 08日
「ほらぁ、早くお金出しなさいよ」
「や、やめてください……」
外は騒然となっていた。革のジャケットを着たブロンドの神姫、アーンヴァルがエプロンドレス姿の神姫、ウィトゥルースに銃を突きつけているからだ。
「私ですね、こう見えて結構短気なんですよ? だ・か・ら・ね? 早く有り金全部出しなさいって言ってるのよぉ!!」
アーンヴァルがウィトゥルースの横の樽を蹴った。樽は粉々に砕けてその破片が中を舞う。
「も、もうお金なんて持ってないですぅ……!」
恐怖にウィトゥルースはブルブルと震えている。だが、そんな光景を目の前にしても街の者は誰も手を出せない、出そうとしない……それだけでファミリーの力が如何に絶大かが分かった。
「そう? なら、ほら。あなたのカラダで稼げばいいじゃないですか? 丑型なんだし、ミルクでますよね? それ売ってお金にすればいいじゃないですか? そうですよね?」
「い、いくら丑型でも、そんなもの出ないですぅ……」
無論神姫からミルクなど出るはずが無い。だが、アーンヴァルは執拗にウィトゥルースに迫った。
「ちょっと胸が大きいからって調子に乗らないで下さいよ! 私だって、私だって……大体なんで私が悪役なんですか!? しかも下っ端なんて……あんまりじゃないですか!!」
「あ、あのエリシスさん台本とちが……」
「台本なんて知りません!!」
今にも泣き出しそうになっているアーンヴァルのエリシスを前にウィトゥルースが慌てる。
「弱いものいじめはだめだよ!!」
そこにタイミング悪く来訪者がバーから出てきた。
「うぅぅ……」
「えっと……ど、どうしましょう……?」
来訪者の前には台本と違う光景が広がっていた。半泣きのエリシスとオロオロと慌てるウィトゥルース……。
「あ、あれ? マリエが弱いものいじめ??」
事態が飲み込めずに来訪者は首を傾げた。台本ではエリシスがウィトゥルースのマリエをいじめていることになっている。が、今の展開は何か違う。
「ち、違いますよ! エリシスさんが急に……」
「うぅ……虎春ちゃんのせいで……大体、マスターはなんで私が主役の話を作ってくれないんですか……?」
当のエリシスは体操座りで”の”の字を地面に書いている。
「え、えっと……とにかく弱いものいじめはダメだよ!」
とは言ったもののエリシスは完全にいじけきっていた。来訪者こと虎春の声は聞こえていないようだ。
「エリシス様! それでは話が進みませんわ」
と、そこにいきなり一人の神姫がフェードインしてくる。
「め、メシエスちゃん!?」
「メシエスさん!?」
虎春とマリエが驚きの声をあげた。
ウェーブのかかった艶やかな金髪を靡かせ、スカートを華麗に翻し、ドローテアタイプのメシエスはエリシスの首根っこを掴むと、ひょいと抱え上げた。
「うぅぅ……メシエスさん~……」
メシエスの肩の上でエリシスがうめき声をあげる。
「マスターには後でシエラお姉様も連れて直談判にいきましょう。大丈夫よ。マスターはお姉様に弱いから。だから今はドラマに集中しましょう? エリシス様?」
「ぅぅ……ありがとうございますぅ……」
メシエスの見事な話術にのせられてエリシスがようやく落ち着きを取り戻す。
「ではエリシス様。捨て台詞を」
促されてエリシスが口を開く。
「覚えてなさいよ~……ボスに仕返ししてもらうんだからぁ……」
「……今一つしまらない感じですがいいでしょう……。それではお二人とも、続きをがんばって下さいませ」
メシエスはエリシスを担いだまま深く礼をすると、入ってきたときとは逆にフェードアウトしていった。
「な、なんだったんでしょう……?」
嵐のような展開が過ぎ去ってマリエが呆然とした表情で呟いた。
「まだ私銃撃ってないのにぃぃ!!」
虎春がテンガロンハットを脱ぎ捨てる。緑色の髪がその中からピヨンと元気よく飛び出した。そう彼女は猫型マオチャオだ。
「えっと……とりあえず助けて頂いてありがとうございます……でいいのかな……?」
マリエはとりあえず台本の台詞を口にしたが、虎春はな納得しないようだった。
「もう!! 私の大活躍はー!?」
腰のホルスターから取り出したリボルバー”ウズルイフ”を振り回して虎春が叫んだ。
・・・・つづく
「や、やめてください……」
外は騒然となっていた。革のジャケットを着たブロンドの神姫、アーンヴァルがエプロンドレス姿の神姫、ウィトゥルースに銃を突きつけているからだ。
「私ですね、こう見えて結構短気なんですよ? だ・か・ら・ね? 早く有り金全部出しなさいって言ってるのよぉ!!」
アーンヴァルがウィトゥルースの横の樽を蹴った。樽は粉々に砕けてその破片が中を舞う。
「も、もうお金なんて持ってないですぅ……!」
恐怖にウィトゥルースはブルブルと震えている。だが、そんな光景を目の前にしても街の者は誰も手を出せない、出そうとしない……それだけでファミリーの力が如何に絶大かが分かった。
「そう? なら、ほら。あなたのカラダで稼げばいいじゃないですか? 丑型なんだし、ミルクでますよね? それ売ってお金にすればいいじゃないですか? そうですよね?」
「い、いくら丑型でも、そんなもの出ないですぅ……」
無論神姫からミルクなど出るはずが無い。だが、アーンヴァルは執拗にウィトゥルースに迫った。
「ちょっと胸が大きいからって調子に乗らないで下さいよ! 私だって、私だって……大体なんで私が悪役なんですか!? しかも下っ端なんて……あんまりじゃないですか!!」
「あ、あのエリシスさん台本とちが……」
「台本なんて知りません!!」
今にも泣き出しそうになっているアーンヴァルのエリシスを前にウィトゥルースが慌てる。
「弱いものいじめはだめだよ!!」
そこにタイミング悪く来訪者がバーから出てきた。
「うぅぅ……」
「えっと……ど、どうしましょう……?」
来訪者の前には台本と違う光景が広がっていた。半泣きのエリシスとオロオロと慌てるウィトゥルース……。
「あ、あれ? マリエが弱いものいじめ??」
事態が飲み込めずに来訪者は首を傾げた。台本ではエリシスがウィトゥルースのマリエをいじめていることになっている。が、今の展開は何か違う。
「ち、違いますよ! エリシスさんが急に……」
「うぅ……虎春ちゃんのせいで……大体、マスターはなんで私が主役の話を作ってくれないんですか……?」
当のエリシスは体操座りで”の”の字を地面に書いている。
「え、えっと……とにかく弱いものいじめはダメだよ!」
とは言ったもののエリシスは完全にいじけきっていた。来訪者こと虎春の声は聞こえていないようだ。
「エリシス様! それでは話が進みませんわ」
と、そこにいきなり一人の神姫がフェードインしてくる。
「め、メシエスちゃん!?」
「メシエスさん!?」
虎春とマリエが驚きの声をあげた。
ウェーブのかかった艶やかな金髪を靡かせ、スカートを華麗に翻し、ドローテアタイプのメシエスはエリシスの首根っこを掴むと、ひょいと抱え上げた。
「うぅぅ……メシエスさん~……」
メシエスの肩の上でエリシスがうめき声をあげる。
「マスターには後でシエラお姉様も連れて直談判にいきましょう。大丈夫よ。マスターはお姉様に弱いから。だから今はドラマに集中しましょう? エリシス様?」
「ぅぅ……ありがとうございますぅ……」
メシエスの見事な話術にのせられてエリシスがようやく落ち着きを取り戻す。
「ではエリシス様。捨て台詞を」
促されてエリシスが口を開く。
「覚えてなさいよ~……ボスに仕返ししてもらうんだからぁ……」
「……今一つしまらない感じですがいいでしょう……。それではお二人とも、続きをがんばって下さいませ」
メシエスはエリシスを担いだまま深く礼をすると、入ってきたときとは逆にフェードアウトしていった。
「な、なんだったんでしょう……?」
嵐のような展開が過ぎ去ってマリエが呆然とした表情で呟いた。
「まだ私銃撃ってないのにぃぃ!!」
虎春がテンガロンハットを脱ぎ捨てる。緑色の髪がその中からピヨンと元気よく飛び出した。そう彼女は猫型マオチャオだ。
「えっと……とりあえず助けて頂いてありがとうございます……でいいのかな……?」
マリエはとりあえず台本の台詞を口にしたが、虎春はな納得しないようだった。
「もう!! 私の大活躍はー!?」
腰のホルスターから取り出したリボルバー”ウズルイフ”を振り回して虎春が叫んだ。
・・・・つづく
by eternal-d-soul
| 2008-02-08 20:08
| 小説:武装神姫