管理人山猫礼と副管理人ユースケによる小説と絵のブログ 毎週水曜更新b


by eternal-d-soul
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

近未来新都心 Chapter01 NO.01

南部工業区第4セクション 旧アリテリア インダストリー マテリアルプラント・・・
AM2:12
突入18分前・・・

 普段は静かなナイビアストリートの一角、廃プラントの一つ旧アリテリアインダストリーマテリアルプラント・・・しかし今日はいつもとは違い喧噪に包まれていた。
 あちらこちらに固まってひそひそ話をしている人々、その視線の先には軽武装とはいえサイレンサーすらつけていない大型の銃をもった人々・・・警備隊が一つの小さな路地前に集まっていた。
「ジェイン警邏長、第六警備部隊と名乗る連中が・・・」
 一人の軽装備の巡視らしき男がジェイン警邏長と呼ばれる男のもとに現れた。ジェインはそれを聞くなりその厳つい顔を歪めて、露骨に嫌な表情をした。
「なんで上はそんな連中を呼んだんだ・・・・」
 そこに二人の男が現れる、長身で短めの黒髪と黒い瞳をもつ男。もうひとりは美しい銀髪に鋭い目の少年とも見える男、その瞳はエメラルドグリーンに輝いている。
「どうやら間に合ったかな?」
 黒髪の男が口を開く。緊迫した場にそぐわない軽い口調だ。
「・・・・・」
 銀髪の少年はチラリとジェインの方を向いたが、そのまま無言で視線を落とした。
「こんなところまでご苦労なことだな」
「まぁな、それで現行はどうなってる?」
 皮肉を意にも介さない黒髪の男に苛つきを覚えながらも警備隊という役職上、上に逆らうことはできない。ジェインは一枚のグラフィックシュミレーターを手渡した。透明の板のようなそれから、全身機械に身を包んだ人物が浮き上がるように映し出される。その姿からは顔も性別すらも判別することはできない。
「現在、目標をここの工場に追い込んだ。相手は違法改造HSM(ヒューマンサポートマシン)を全身に装備、71式コンバットカノンなんて言う馬鹿みたいな代物を振り回してやがる。おかげでこっちの被害は甚大だ・・・・」
「なるほどね・・・・よりによってこの工場とは・・・追い込んだって言うよりも逃げ込まれたって感じだな・・・・」
 黒髪の男はグラフィックシュミレーターに映し出される工場の構造を見ながら嫌みたっぷりな台詞を吐いた。映し出された工場の構造はかなり複雑で、広大だ。いかに相手が目立つ格好であろうともここならば何処にでも隠れる場所はあるだろう。つまり奇襲を仕掛けられるなど、相手にとってはかっこうの隠れ場所であるということだ。
「とはいえ、この廃棄プラントはメインの入り口であるここ以外の入り口は全て閉鎖されている。ヤツを捕まえるのは容易だろう?」
 ジェインの言葉を無視して、黒髪の男はグラフィックシュミレーターを銀髪の少年に手渡した。銀髪の少年は顔立ちが整っているが、その表情にはまるで感情がない。文字通り人形であるかのようだ。映し出されている全身機械だらけの相手を見ても眉一つ動かさない。精悍な顔立ちで表情や言動の変化に激しい黒髪の男とはまるで対照的だ。初めて見るジェインの眼にもこの二人が良いコンビには見えない。
「ある程度はやるみたいだけど・・・いけるだろう?ラウル」
 黒髪の男は銀髪の少年、ラウルに話しかけた。
「ああ、はやく済ませよう・・・」
 初めて口を開いたラウルという男の口調には抑揚が無く、冷たい。
「そういうわけだ。先に入らせてもらうよ」
 言いながら黒髪の男は腰に付けていたバイザーを頭にかける。表面は鉄製の板に見えるが視覚を透過する特殊な素材で出来ている。同じようにしてラウルもバイザーを頭にかける。
「おい!いまさら突入命令を変えることはできんぞ!」
 勝手に扉をあけようとする二人に向けてジェインが怒鳴るが黒髪の男は振り返る見える口元だけで笑った。
「突入まであと15分ってとこか?それまでに済ますから、あんたらの出番はないよ」
 それだけ言うと黒髪の男は扉に向き直った。
「そんじゃラウル開けてくれ」
「分かった」
 ラウルは短く返事をすると扉を片手で横に引いて開けた。
「!?」
 鋼鉄製で相当な重さのあるその扉がいとも簡単に開いたことにジェインは驚いたが、声をかける間もなく二人は扉の中に入っていった。
[PR]
by eternal-d-soul | 2006-10-11 13:40 | 連載小説:近未来新都心